住まいの耐久性
最終更新日:2022.03.13
ごくありふれた住宅街の中にも、時折ふと一つの住まいに目を引かれます。
主張すること無く、周囲に自然に馴染みながら、手入れが行き届き、住まい手の人柄や暮らし方、生き方すら感じられるもの。
「佇まい」の美しさ
月日の流れの中で、住まい手の愛着が積み重ねられた様。
住まいとはこうありたいものだと思わされます。
何十年も住み続ける住宅建築にとって「耐久性」はとても大切な事だと言われます。この「耐久性」という言葉、建築的には「構造体」と、風雨に晒される「屋根や外壁」の劣化しにくさによって評価されます。
しかしながら、昨今の建築技術によって、構造体が数十年の間に自然に劣化するという事は考え難く、屋根や外壁の素材においても、定期的なメンテナンスを行えば大きな問題ではないと思われます。
では、住宅の「耐久性」とは何か。それは多くの場合、ライフスタイルの変化によって左右されます。年月と共に住まい手の価値観が変わり、やがて愛着が薄れる。その結果、細かなところに目が行き届かなくなり、劣化が進むというプロセスを歩みます。
とはいえ、様々な価値観が一生変わらない人はいないでしょう。しかしながら「ご家族の暮らし」にとって、本当に大切ないくつかの「本質的な価値観」を見つめる事は、住まいづくりにとても大切な事です。
今現在「普通」の事で、これからもきっと「普通」の事。
「私たち」にとっては、極めて自然で「普通」の事。
こうした「普遍性」と「固有性」を併せ持つ事。
それこそが、人が暮らす「住まい」として、長く愛着を持ち続けられる「耐久性」ではないかと考えます。