山海 満也
アルスホーム株式会社
代表取締役社長
山海 満也

ねじガールの笑顔

  • 社長メッセージ
最終更新日:2019.11.18

皆さんこんにちは。グッと冬が近づいた感じです。
今日は貴重な晴れ間となりそうです。有意義に過ごしたいものです。

さて、今回は「ねじガールの笑顔」というタイトルです。

先日、静岡のネジ製造会社を研修訪問して参りました。
「ねじガール」とはその工場で働く女性社員のことを指します。

ちなみに私は工場見学が大好きです。

製造過程や精緻かつ正確な機械の動きを見ていると、製品を設計した設計者の
情熱や、安定してラインを動かし製品が安定するまでのライン担当者の苦労が
想起され、とてもワクワクさせられます。

今回は「ネジ」工場でしたが、同じように興味深く見学させて頂きました。

一応簡単にネジの製造プロセスを説明しますと、

①素材となる金属線をカットする
②カットした素材を金型で圧造しネジの頭とネジ山を造る
③ノコギリ歯状の金型板に②で造った加工品を入れ圧造成型でネジ切りを行う

簡単に言うと上記の3工程でネジが出来ます。
因みに①~③の工程は1台の機械で完結して製造されます。

このため、作業員は慣れると7~8台程度の製造機をマネジメントしています。
従って工場の風景としては100台程度のネジ製造機がガシャガシャ動いている状況です

製造過程のネジは油にまみれており、ネジ切りを行う時に高温になるので、
油煙が立ち上がります。ですから工場全体に油煙の微粒子が漂いかすかに霞んでいます。

鼻をつく油煙の匂いは、工場見学好きの私のテンションを一気に引き上げてくれました。

また、各ラインを見学する中ですぐ気づくのは、働く社員の明るい笑顔と挨拶です。

どのラインや部署に行っても爽やかで明るい挨拶をしてくれます。
ネジの製造ですから本来的には地味な工場作業です。

工場見学の後に行われた社長の講義に幾つかポイントがありました。

まず一つは自社製品への拘りと誇りです。

たかがネジ製造ですが、その会社の品質目標はJIS基準をはるかに凌ぐ水準を
追求していることと、その精度の高さを活用して他社では造れない素材のネジ
製造に取り組むなどオンリーワンのネジ製造会社を目指しています。

彼らは単なる従属的ラインワーカーでは無いのです。



(ネジとはいえ、太さ、長さ、ネジ頭形状、素材の組合せは無数にあります)


もう一つは、社員に主体性を求める運営が徹底されています。

言葉で言うと簡単ですが、実際は製造の計画作りから手配、トラブル対応
はたまた社員のローテーションなどの人繰りまで自分達で解決しなければなりません。

「自分以外の誰かがやってくれるのだろう」という考え方は彼らにはありません。

そうした自主運営が徹底され、自分達で努力した結果、従来は男性の専門職しか
働くことができなかった職場が大きく変わり、今では大学卒文系かつ女性の
「ねじガール」がたくさんラインで働くまでになりました。

今や社員の半数は女性だそうです。

先日私どもアルスホームの今年度のモラールサーベイの結果が上がって
きました。客観的にはまずまずのスコアですが、ここ数年横ばいの状況です。

また、会社としては様々な手を打っていますが、組織コミュニケーションや教育体制、
チャレンジしやすい雰囲気作りという点で相対的に満足度が低い状況が続いています。

恐らく、これらの問題を解決しサーベイスコアを一段引き上げるには、今回
見学させて頂いた会社のように、社員一人一人の主体性を一段上のレベルに
引き上げなければなりません。

それは「自分以外の誰かが」ではなく、「まずは自分から」いう風に
思考や習慣を抜本的に変革するプロセスとなります。

アルスホーム企業理念の全文は「~しよう」という形式で記されています。
英語で言うところの「レッツ」です。そこには、一人一人がそう想い、
アクションを起こさないと何も始まらないという大原則が示されています。

ネジガールの笑顔にはたくさんの示唆がありました。