建築の社交性
- 社長メッセージ
皆さんこんにちは。
先日、2024年のプリツカー賞の発表があり
山本理顕氏が受賞されました。
日本人として9人目の受賞となります。
その受賞の際のスピーチに非常に印象的な話がありました。
話の中で、クライアントやその施設を使用する人ではなく
周囲に住んでいる人に喜んでもらいたいと仰っていました。
私自身は住宅建築を生業としている訳ですが、
この話に非常に共感を感じました。
個人の住宅は敷地を購入し、その土地に
自分の好みの家を建てることになります。
その結果、建主の好みや個性が色濃く反映されます。
しかし、個人的にはもう少し住宅建築というものの役割を
視野を拡げて捉えた方が良いと考えています。
建築物というのは30年や50年、ものによっては
100年以上その地にあり続けることになります。
そういう視点で考えると、住宅建築というのは
地域の風景を構成する社会的資産という見方ができると思います。
このような視点で今の住宅を見てみると残念な点があります。
先に指摘したように、オーナーの好みや個性が色濃く反映されすぎて
各戸が調和せず、おもちゃ箱の様な風景になっていることです。
個人の財産権だから何を建ててもいいじゃないか
という考えは否定できるものではありません。
しかし、ここはその地域の住まい手として
少々リソースを地域に提供してはどうかというのが私の考えです。
建物のフォルムとしてはコミュニティーを拒絶する様な
面の立ったものではなく、住まい手の気品が漏れ出て
中へと誘うような透明感があるといいなと思います。
また、使用する素材やカラー、植栽計画も
地域の風景や歴史的背景に馴染むものが良いと思います。
よく、海外の街の風景で統一された
素敵な街並みを見かけることがありますよね。
理想を言うなら、そうした地域性を反映した統一感のある街並みを形成すること。
さらには、それに対して地域の住民が大事に受け継いでいく文化性まで
育まれることが理想だと思います。
一個人が建築する住宅ですが、周囲の人に喜んでもらえる
という社交性を持ち合わせたいものです。
住宅が建つその地域の風景はキャンバスとも言えます。
我々アルスホームは、住宅が建って素敵な風景画が
完成するような美しい住まい造りに努めて参ります。