引き際をもつ
- 社長メッセージ
皆さんこんにちは。
ここ数日、春を思わせる陽気が続いております。
一歩一歩穏やかな季節に近づいています。
さて、今回は「引き際」について考えてみたいと思います。
きっかけは、今回の五輪組織委員会元会長の一連の騒動です。
この騒動での論点は各メディアで語り尽くされているので、
ここでは「引き際」に焦点を当てて考えてみたいと思います。
あの釈明会見を聞いてまず思ったのは、「みっともない姿を晒したものだ」
というのが正直なところです。
問題の発端となった女性蔑視の発言が現代の常識からかけ離れすぎていて
驚いたのと、何より釈明会見で恥ずかしい素振りや反省の色を
見せることなく、むしろ開き直って見せたことに衝撃を覚えました。
そこで私が興味を持ったのは、「なぜ、このような失態を犯すまで
この人の価値観のズレが放置されてきたのか?」ということです。
かつての首相時代も失言が多いことで有名でしたが、聞けば普段の
人柄は朗らかで面倒見の良い人らしいです。
また、スポーツ行政に心を砕いて取りまとめてきた実力者でもあります。
恐らく推察するに、過去の首相経験者としての忖度や議員引退後も
スポーツ行政に尽力してきた功労が、本質的な問題を放置する原因となり、
加えて年齢的にも誰からも諭されることなく今に至ったものと思います。
また、これまた推察の域を出ませんが、彼自身も五輪が集大成として、
今日に至るまで「まだやれる。俺しかいない」と
思い込んでいたのではないでしょうか?
それら複合要因で、世間の常識から見て非常識な価値観を抱えているのに
露呈することなく、肥大化し、今回一気に噴出したように見えました。
反対に美しい引き際を見せた方もいらっしゃいます。
野球界の江川卓さんや相撲界の故千代の富士関です。
江川さんは引退した年に二桁勝利を挙げながらも
「江川卓らしい球が投げることができなくなった」として
32歳で引退しました。
また、故千代の富士関は貴花田に敗れ、世代交代を悟り
「体力の限界・・・・気力もなくなり引退することになりました」
と35歳で引退されています。
当時学生だった私は、その潔さ、美しさ、生き様に感動し、
テレビの前で泣いた記憶があります。
そこで、自分の中にある引き際が美しい人を見てみると共通項があります。
単純なことですが、自分がベストな状態の時に
「こうなったらすぐに引退しよう」というデッドラインを
明確に事前に決めているということです。
世の中のいろいろな顛末を見ると、今回の件に限らず、
みっともない顛末の方が多いように思います。
そう考えると、潔く後世に託し、美しく引いて見せるのは
難しいことなのかもしれません。
(「立つ鳥跡を濁さず」と言われますが、そうありたいものです)
「ありたい自分を明確に持とう」アルスホーム企業理念1章1項です。
自身のキャリアの最後の時まで明確に描くよう
求められているように感じている自分がいます。