山海 満也
アルスホーム株式会社
代表取締役社長
山海 満也

ローコストとは

  • 社長メッセージ
最終更新日:2019.11.09

皆さんこんにちは。

今週は「ローコスト」というタイトルで、
住宅における「ローコスト」とは何なのか?多角的に検討してみます。

まず、世間一般的に「ローコスト」住宅と言えば、建設費が比較的に安いものを指すと
思われます。それはそれで、費用の絶対額を捉えた場合は、当てはまりますが、
本当にそうでしょうか?

例えば、時間軸で比較した場合はどうでしょう?

誤解を恐れず、私見を述べると、一般的に「ローコスト」住宅と言われる建物は概して、
構造部材の質・量共に控えめにするのが原則です。

また、仕上げ材なども低いグレードのものが採用されがちです。

要は、良質な注文住宅と異なり、そもそも建物が長期耐用性に劣るケースが非常に多いのです。

また、住まい手そのものも建物に対する愛着が薄い方が多く、
メンテナンスに手間隙を端折る人が多く見受けられます。

従って、思い入れを持って丁寧に作られた住宅と異なり、入居後、10年を超えるあたりから
加速度的に建物の劣化が進むお宅が多いのです。私の経験的にも断言できます。

要は、当初の建設費を安く上げたつもりでも、長持ちしにくいので、時間で割ると、
結果的にはローコストにならないのです。


二つ目の視点は、設計プロセスにあります。

一般的にお客様は、住宅を建てるにあたって夢をたくさんお持ちです。
それはそれで、結構なのですが、注意しなければならない点が潜んでいます。

それは、一過性の要望を盛り込んでしまったり、長期的な視点での設計検証が
抜けることです。

要は、今は必要と思っていたことが、住んでみると重要でなかったり、
年を経て、暮らし方が変わることによって使いにくくなる、
もしくは、全く使わなくなったということが起きるのです。

こうなってしまうと、あれこれ盛り込んで「ローコスト」に仕上げたはずの住宅でも、
使用有効面積で割ると、これまた割高ということになります。


三つ目の視点は、付加価値、感性価値にあります。

住む「箱」と割り切って「ローコスト」住宅を手に入れたとします。
そこには物理的な空間が手に入るだけで、何の思い入れもありません。

逆に、自分らしいスタイルとこだわりの空間だった場合はどうでしょう?

そこに流れる時間そのものが価値あるものですし、自分の人生を肯定的に受け止めながら、
有意義な時間を積み重ねることができます。

それは、引いては有意義な人生に直結します。

まさに「住まう」ことは「生きる」ことの品質を定義づけるのです。

また、生きることの品質は、人それぞれの価値観ですが、充実度という点で客観的にみた場合、
恐らく、数倍、数十倍と大きな差があると推察されます。

従って、自分らしい住まいを建て、心豊かに時間を過ごすことは、
建築費の高低という概念を大きく超えて、高い満足度と人生への肯定感を感じるとともに、
結果的には圧倒的なコストパフォーマンスを生み出します。
 
つまり、拘りの住まいを作り、愛着を持ってメンテナンスし、自分らしい時間を過ごすことが
実は本当の「ローコスト」なのです。

この視点を忘れて、自分の人生そのものが「ローコスト」になること
だけは避けたいものです。

谷口吉生作の金沢建築館です。いつまでも美しく佇むであろう建築です

私どもアルスホームは、流されることなく、心豊かな時間を過ごせる住まいを
ご提案してまいります。