佇まいは何処
- 社長メッセージ
皆さんこんにちは。
猛暑も収まり、ようやく秋めいてまいりました。
今回は「佇まい」について考えてみます。
たまたま直近の会長ブログとタイトルが被ってしまいました。
まず、「佇まい」そのものの言葉に意味としては、「立っている様子」という意味と、
「暮らし方」という意味合いがあるそうです。
私個人としても、文字にニンベンが含まれているので、そこに住む人の考え方や価値観を含めて、
その住まいから感じることができる「様」を「佇まい」だと考えています。
今回、このことを取り上げたのには訳があります。
私が通勤で走る道に、とある家がありました。
おそらく築25年程度と推察されるお宅でした。
デザインは洋風で、庭にはトレリスのフェンスが施され、植栽もバランスよく配置され、
手入れもされているお宅でした。
いつも通りながら、「住まい手に大事にされて、この家は幸せだな〜」とか、
「いったいどんな人が住んでいるのだろう?きっと良識ある人に違いない」
などと想像を膨らませていました。
しかしながら、その素敵なお住まいは今年の春に解体されて、建て替え工事が始まりました。
自分としては、住まい手の品性が感じられて「イイな」と思っていたことと、
勝手ながら、まだまだ何十年も大事にされて、もっと良くなるだろうという
勝手な期待感を持っていたので、ある種のショックを受けました。
加えて、現在は上棟を終えて2次工程に入るところですが、新たに建築された建物は
どう見てもチープに見えるBOX形状の建物です。加えてクリーム色と紺色の外壁板金で、
センスもお世辞にも良いとは言えない状況です。
建て主様には、建て替える事情もあったのでしょうし、現在建築されている建物も良しとして
気に入られていることと思います。
しかし、私にとっては素敵な佇まいの家がなくなった挙句に、改悪と言わんばかりの
チープなセンスの悪い建物に置き換わったようにしか感じられず、
毎日そこを通るたびに残念な感じがしてなりません。
改めて我々、建築を提案する側の責任について考えさせられました。
基本的に奇をてらった形状や意匠は採用してはいけません。
また、使う素材やカラーも基本的にはナチュラルでアースカラーが基本です。
風景や地域に馴染む選択をする必要があります。
最後に、住まい手がこまめにメンテナンスすることが不可欠です。
永く愛着を持って、大事にされてきた時間を纏って、初めて素敵な佇まいとなります。
佇まいを纏うにはさまざまな要件と時間が必要です。
(写真はGWに訪れた京都迎賓館です。まだまだ新しく「佇まい」を纏うまでもう少し)
我々アルスホームは「佇まい」を感じることができる住まい造りを進めて参ります。
そして、できることなら次の、また次の世代に引き継がれ、いつまでも凛として、
そこに佇んでいる、まさしく地域の風景を創る会社でありたいと願っています。