山海 満也
アルスホーム株式会社
代表取締役社長
山海 満也

風格を纏う

  • 社長メッセージ
最終更新日:2019.11.18

皆さんこんにちは。

GWも終わり、立夏を過ぎ、文字通り暑さを感じるようになってきました。
青葉も若葉色で、一年で一番さわかやで過ごしやすい時期です。

さて、この度はGWを利用して京都、大阪、奈良と関西方面へ旅行に行って参りました。

いろいろなところを見て回ったのですが、
今回の旅の一番の見どころは最終日に見た京都迎賓館です。

一昨年ごろから見学を希望し、何度も抽選に臨んだのですが、
なかなか抽選に当たらず見に行けずじまいでした。

今は一般公開されているとのことで、ようやく見学することが出来ました。

さすが国の迎賓館だけあって、贅の限りを尽くして造られています。

細部に至るまで、細工が施され、まさに工芸美術品です。


(「和の晩餐室」桐の間です。鏡のような漆黒の座卓が見事です)

これまでは撮影制限などがあったようですが、現在は館内の写真撮影は自由です。
(ただし、地下駐車場は警備上の都合でNGです)

日建設計による設計で、まさしくどこを見ても隙が無く、ため息のでる仕上りでした。

しかしながら、一通り見学してみると「物足りなさ」を感じました。

国を挙げて作られた建築物を物足りないと評しては、失礼極まりないかと思いますが、
何か「物足りない」のです。その物足りなさの正体は何か、考えてみました。

たまたま、昨年に迎賓館赤坂離宮和風別館「游心亭」(設計は谷口吉郎氏)を見学しました。

これまた、見事な造りで45年の時を経ても色褪せることなく佇んでいます。

両方とも、建築技術と工芸技術の粋を集めて造られています。

しかしながら、この二つの迎賓館にある大きな違いは、建築時から経過した年月にあります。

京都迎賓館は築後14年が経ってはいますが、一言で言うとピカピカです。

迎賓館赤坂離宮和風別館は、45年が経過している分、しっとりとしています。

両迎賓館を見て改めて建築の面白さ、美しさ、備えるべき要件を考えさせられました。

まず、そもそも美しいことが重要です。奇をてらわず、流行を追わず、
いつまでも飽きのくることが無い意匠、デザインであることが重要です。

この点は、両迎賓館とも要件を満たしています。

次に大事な要件は、先に両迎賓館の違いとして「年月」を挙げましたが、
この年月の経ち方がとても重要なのです。

それは、大事にされながら、愛しみながら年月が経過することが重要です。

物理的劣化は進むものの、愛おしまれ経過した年月は、
いつしかその建物に小手先では身に纏うことができない「風格」を与えます。

この風格を纏った建築物は、何とも言えない美しさを感じさせます。

加えて、過ぎ去った年月の長さや、歴史、携わった人々の膨大な努力の積み重ねを
想起させてくれます。

風格を纏った建築物が持つ多様な力を再認識した次第です。

(テーマは庭屋一如です)

当然、今回見学した京都迎賓館も、あと半世紀もすれば風格を感じるようになるでしょう。

我々アルスホームが手掛けている住宅もそのようにありたいと願っています。