運の良い存在
こんにちは。設計課の長谷川です。
今年は過去最多の猛暑日数を記録したようで、年々厳しくなる暑さを体感します。
庭の水遣りが追い付かず枯らしてしまった鉢植えも数知れず...
毎年この場で我が家の暮らしを通して家づくりの想いを綴っていました。
今回は家の佇まい(外観)についてお話させて頂きます。
今年の秋で築6年目を迎える我が家のコンセプトは 『 立山と庭の景色を愉しむ家 』
新興の住宅地ですが目前の田畑のおかげで、立山連峰の眺望が残された幸運な立地です。
県外出身の私にとって立山の眺めは新鮮で、家づくりのテーマにしようと心に決めていました。
但し、広大な田畑が徐々に宅地化されたこの敷地
いづれは目前も宅地となり、立山の眺めは消えてしまうのだろうと
覚悟とその時の準備をして設計を進めていました。
そんな当時の思いは少し忘れかけていた去年の夏
突如として目の前の田んぼに重機が入り、何かのための造成工事がはじまりました。
いつかは、と覚悟はしていたけど『 こんなに早く来たか... 』
宅地になるとばかり思い、立山との別れを惜しむ日々
町内の噂でそこに建つのが『 保育園 』だと知ったのはしばらくしてからでした。
こんな住宅地の中に?予想外の展開と共に
どんな建物?どのあたりに建つ?山の眺め残るかな...?
いろんな不安がよぎったり、話したところで何も変わらない議論を家族としたり...
工事の進捗を見守りながらこの秋に竣工を迎える保育園
その佇まいは我が家の不安は何だったんだろう...
と思うほどに『 違和感がない 』ことに気づきます
(ダイニングの正面に建つ保育園)
その佇まい一言でいうと『シンプル』
大きさ程の威圧感がないのです。仕事柄ついつい分析してしまうと
屋根が端から端まで一直線 / 住宅並みに屋根が低い・軒がある / 形が真四角
真偽は分かりませんが、住宅街に建つ事を意識して設計されたんだろうな、と感じます。
こんな風に意思するのは設計士という職業柄なのかもしれません
ただ、このシンプルさからくる 『 違和感の無さ 』は『 心地良さ 』 に繋がり
老若男女問わず無意識のなかに感じている事なのだと信じています。
ダイニングから覗く保育園の軒は、塀の水平ラインと馴染み
新たな景色の一部となってくれました。
結果的に保育園が建った事は我が家にとって『運の良い』出来事になっています
(さらに運良く、立山の眺めも残っています)
家の佇まい(外観)は住まい手だけでなく
地域の方々や街並みに少なからず影響を与えています
廻りからどう感じられるのか? そんな視点も大切にしてご提案できればと思います。
我が家も誰かにとって『運の良い存在』であったらいいな、そうあり続けれたら
そう思えば、終わりのない雑草との闘いも気持ちを軽く付き合っていけそうです...